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2025-08-22 07:09:00
路線バス、大都市も苦境

主要自治体、補助金が10年で倍増 次世代交通探る

主要都市の路線バスで公費依存が強まっている。日本経済新聞の調査によると、主要自治体がバス事業者に拠出する補助金が10年で2倍の220億円超に増えていた。人件費の負担が重く、補助金だけで交通網を維持するのは限界に来ている。公共交通空白地の拡大懸念が都市部にも波及する中、代替サービスなど新しい対策が求められる。

路線バスの補助金は過疎地の路線を維持するために主に国が拠出するものと、個別事情に合わせて自治体が拠出するものの2種類がある。国土交通省によると、国が拠出したのは2023年度に124億円だった。日経は都市部の路線の収益の悪化が進んでいる事情を明らかにするため、自治体の補助金を調査した。

調査対象は政令指定都市、中核市、施行時特例市の105自治体。回答率は100%。24年度に市の財源で補助金を拠出していると答えたのは全体の76%にあたる80都市で、15年度(70都市)から14%増えた。24年度の補助金額は合計221億円で、15年度の113億円から倍増した。

一般的にバス補助金は運賃収入で運行費用をまかなえない赤字路線に支給される。調査では5割超の自治体が運行収支の赤字部分を全額負担する系統を抱えていた。

公費依存に拍車をかけた背景には新型コロナウイルス禍の業績悪化がある。20~24年度平均の補助金額はコロナ前(15~19年度)に比べて7割増。政令市で最も増加率が高かったのは札幌市の2.6倍で、名古屋市(2.2倍)も2倍を超えた。神戸市は7割増、大阪市も約5割増えた。

札幌市は21年度に補助要件を緩和し、補助系統がほぼ倍増した。24年度に48系統の補助を受けたジェイ・アール北海道バス(札幌市)は25年3月期の営業損益が1億4496万円の赤字。乗務員不足で運行本数がコロナ前から15%程度減った影響もあるが、「軽油高騰で燃料費が2割ほど高騰し、修繕費も1割上がっている」(担当者)。

交通経済研究所の遠藤俊太郎主任研究員は「バス事業者は路線バスの赤字を高速バスなどで内部補填してきたが、コロナ禍でその前提が崩れた」と分析する。国土交通省によると、高速バスの輸送人員は23年度に6851万人と19年度の7割にとどまる。大手バス事業者の7割が赤字だった。

兵庫県南部を中心に運行する神姫バスは神戸市から補助を受ける路線数が24年度に12系統と19年(7系統)からほぼ倍増した。対象には市街地中心部を通る路線も含まれる。収益源の高速バスの24年度の利用者は19年度比1~2割減。「運転手の待遇改善で人件費も増えた」(同社)

 

国交省によると路線バスの廃止は23年度に10年前比2.2倍の2500キロメートルと増加傾向だ。遠藤氏は「運転手の採用強化などの自治体支援が必要だ」と話す。地方では事前に予約して乗り合う「デマンド交通」が普及。東京都足立区が今年4月から一部地域で本格導入するなど、都市部でもこうした代替サービスが求められつつある。

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